PEOPLE

ものづくりの将来を担う、
きみたちへ。

倉橋 和弘 准教授、國村 太亮 教授

倉橋 和弘 准教授、國村 太亮 教授

教員対談

失敗を恐れず挑戦し続けてきた大人たちが語る、イノベーションの本質と行動原理とは。

イノベーション=新しい価値を創造するために、大切にすべきことは何でしょう?

倉橋:僕ね、変革と挑戦という言葉が大好きなんです。何かを変えるためには挑戦が必要で、挑戦するためには勇気が必要。ただし、挑戦には失敗がつきもの。だから、そこでくじけずもう一回、挑戦するこだわりも必要。

國村:まさにそこが、日本人のマインドで失いかけているところ。勇気を忘れ、失敗を恐れて新たな挑戦を躊躇してしまう。今、アメリカのIT企業には、高学歴の社員は多くないんです。でも発想は自由だし、仕事に対する意欲が高くてビジネスパーソンとしては非常に優秀。つまり混迷するIT業界において、試行錯誤やミスを繰り返しながらやってきた人たちが活躍している。

倉橋:これからは、勇気を持って挑戦する若者を育てないと、日本の将来はないでしょうね。三条市立大学はイノベーターとしてのスキルやマインドセット(個人の思考パターン)を学ぶためのカリキュラムが充実しているので、学生には、大いに活用してほしい。國村先生の「プロジェクト演習」は、それにうってつけの講義ですね。

國村:そう、数学と違って答えがひとつではないので、信念を持ち、自分の考えをまとめて、堂々とプレゼンすることが求められる。

倉橋:今日の日本の教育者にはむしろ、間違えたら褒めるくらいの気概が欲しい。うちの大学はそれができると思うし、そういう本質を見抜いてやってくる学生なら、この大学の良さを存分に享受できるんじゃないかな。うちの学生にはまず、人と同じ物差しで競争するのではなく、自分はこれが1番だと思うものを伸ばしていってほしい。

國村:学生が持つべきは「興味、関心、好奇心」ですね。それを我々が他にない講義内容で盛り上げたいし、自治体・企業も応援してくれている。ビジネスや世の中に興味のある学生がここで学んでくれたら、成長の度合いは大きいでしょうね。

倉橋:今、2年生の「経営戦略論」を受け持っていますが、大学院レベルの高い課題を出しています。先日、学生のレポートを見て、感激しました。ちゃんと自分で考え、理論を組み立てて回答してくる学生が多いんです。これはまさに好奇心の現れ。成長意欲の高い学生ほど鍛えがいがあります。

國村:学生の中には起業したい人もいて、講義でのディスカッションも盛ん。そういうセルフスターターの学生がもっと増えれば、皆が感化されて成長もできる。開学まもない大学だからこそ、野心や情熱を持って入ってくる学生が多いのかもしれません。

三条市立大学が目指すのは、工学とマネジメントの学びを通じた「イノベーティブテクノロジスト」の育成ですね。そうした人材の能力をもって、世界を好転させたい、と。

倉橋:イノベーターには知識や技術は当然のことながら、度胸も必要ですよね。米国の経営学者クレイトン・クリステンセン曰く、「破壊的イノベーション」は、最初は顧客からも、業界のチャンピオンからも見向きはされない、と。でも何かの拍子に顧客ができ、技術革新が進み、量産化が進むと、あっという間に既存の技術を凌駕していく。そんなものが普及するわけがないと、周囲の反対意見に対して、くじけない気持ち、マインドセットがないと、イノベーティブテクノロジストとはいえない。

國村:倉橋先生のその意見には、私も大賛成です。「アンゾフの成長マトリクス」というフレームワークは、今ある製品を上手に使いながら新しい市場でビジネスを作るというものですが、ある学生からはペットブームを背景に、「プロテインをペットフードとして売ったらどうか」と提案がありました。こうしたちょっとしたアイデアのひねりでも、勇気を持って出すことが大事なんですよ。

令和7年度からは三条市立大学でも、総合型選抜がはじまります。

倉橋:僕なら「私は、中学、高校でこれ以上ない大失敗をしました。この経験を活かして、大学ではこれをしたい」と堂々と書いてくる学生を、目をつぶって入れたいですね(笑)。失敗後の挑戦に大いに期待します。

國村:本当に、失敗で培われる免疫力は大事ですよね。まさにこの大学の4年間でどれだけ失敗ができるのかが、イノベーターへの鍵だと思います。三条市立大学にはもともと、野原を駆け回ってきた野生児のような学生が多い(笑)。受験勉強でぎゅうぎゅうに詰められていないので、伸びしろは大きいなと感じていました。加えて総合型選抜でなら、学力だけで計れない個性を見出せますから、ますます面白いキャンパスになりそうですね。

倉橋:イノベーティブな高校生から、知る人ぞ知る大学として人気を集め、全国から多彩なチャレンジャーが来るのなら、それでまたどう変化するのか、それも楽しみです。

國村:学生も大学も進化の途中、ですよね。教員としても高揚感をもって、学びの場を創造していきたいと思います。

プロフィール

倉橋 和弘 准教授

一橋大学大学院国際企業戦略研究科修了(MBA in Finance)。野村證券株式会社にて投資銀行業務を経験後、機械メーカーやリゾート運営企業の企業再建に従事。その後、野村ホールディングス株式会社にて経営企画部次長、総務部長として勤務。野村ビジネスサービス株式会社取締役ほか、グループ海外現地法人役員を経て、 2024年6月より現職。現在、ホテル・チェーン企業の役員を兼務する他、複数企業に対する助言も担う。

國村 太亮 教授

神奈川県出身。カナダ・マギル大学でMBA取得。帰国後、フィリップスエレクトロニクスの自動車電球部門の市販部門カントリーマネジャーへ。事業運営全般に携わる。以降、アマゾン・ジャパンでは事業部の立ち上げ、アシックスでECデジタルマーケティングを含めた直販チャネル立ち上げなど事業開発に従事。2020年からセールスフォース・ジャパンのビジネスコンサルタントとして移籍し、本学では22年より客員教授として「マーケティング論」「プロジェクト演習」を担当。2025年4月より現職。

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